花火の方向に向けて斜めに配置したコンクリート打放の上層部と、コンパクトにまとめた寝室のある左官仕上の１階部分で構成され、不思議な浮遊感やゆとりを持った建物である。北側に配置した駐車場の上部に張り出した部分が洗面や浴室になり、斜めに向けた上層部と１階とのズレの部分がテラスになっている。
　内部は上下階共に効果が出るように計画した６段階のスキップフロア−によって構成される。天井の高い玄関ホールを上がっていくと、１３０インチのリビングシアターを核として、床面積以上の広がりや様々な家族のコミュニケーションを期待できる立体的な空間が広がる。
　スキップした床の高低差を利用した収納、階段下の書斎、下がり天井の天井裏など、ズレから生じる小空間も十分に活かされている。
　平面的な配置のズレと、スキップフロア−による断面的なズレを組み合わせて、立体的な空間の広がりとつながりの可能性を試行した。