[ completion date ] |
2010/04 |
[ design ] |
監修:名古屋大学恒川和久建築研究室 恒川和久
意匠設計:笹野空間設計 笹野直之 中村公代
構造設計:藤尾建築構造設計事務所 藤尾篤
設備設計:名古屋大学田中英紀環境設備研究室
田中英紀
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[ design concept ]
■テクノロジーを見せない
この家の建主は建築環境設備分野の博士であり、自邸でその分野の実験を試みたいとの意向があった。
その一方で、できる限り設備機器等のハードウェアを不可視化し、十分な機能性を保ちつつも住まいとして
安らぎのあるデザイン性豊かな住宅にしつらえたい、という方向性は設計の初期の段階で一致していた。
■単純形体の組み合わせにより生まれる、単純ではない空間
ゲート型の大屋根を少し傾け、水廻りや階段から成るコアとも言えるボックスとの間に適度な「間(ま)」
を残して組み合わせた。この適度な「間」を残すことにより、光や風、視線など色々なものがこの間を通り抜ける。
玄関やキッチンでは裏庭へ視線が抜ける。ロールスクリーンを利用した簡易ダブルスキンで暖まった空気は、
ロールスクリーンの上部に設けられた通気孔をくぐり抜けた後、傾斜天井に沿って北側ハイサイドライトに誘われ、
外へと排出される。主寝室や子供室からは、このハイサイドライトを介して空の表情を楽しむこともできる。
このハイサイドライトの透明性をできるだけ保つため、この部分に必要な梁は鉄骨の細い線材を組み合わせた
「トラス梁」とした。また、大屋根は太陽光発電の設置角の合理性を保ちつつ、大きな「軒」として夏の日光遮蔽に貢献している。
■エネルギー利用のあり方を試行
基礎のボイドスラブをクールチューブとして利用した。これは構造計画的な合理性を自然エネルギー利用にも流用しようという
新しい試みである。また、太陽電池と家庭用燃料電池による複合発電も導入し、パッシブデザインとアクティブシステムの
組み合わせを意匠・構造・設備の融合により達成した、上質な次世代低炭素住宅として仕上がっている。
[ structure ] |
木造軸組工法、一部鉄骨造 |
[ total floor area ] |
140.35u(42.5坪) |
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